暗い部屋に布団を敷き詰めて寝転んで
目を凝らし寝顔を見ながら乳をやる

安心しきった私のはるちゃん

そのすぐ向こうには
主人がまーくんを抱いて寝てる

一部屋向こうで
祖母とさくがテレビを見てる

繰り返し流れる被災地の映像と音声

幸せな顔で眠る息子たちの向こうには
たくさんの犠牲がある

だくだくと涙が出る

そっと夫の手を握った
力なく握り返して来る指から
悲痛なほど無事を願うのが伝わって来た

彼の祖父母一家は未だ行方不明
気仙沼の昆布養殖を長年してきた

50m先が海…
高台まで逃げられただろうか
テレビで見ていると辛い


原発がこんなことになり
昆布だワカメだと注目を浴びている
それらは三陸の海で作られて来たもの
三陸の人達が守って来たもの

なんの因果だろうか

だくだくと涙が出る
なんという愛だろうか
あなたたちの作ったもので
私達は救われようとしている

この震災は地球の涙
汚され 酷使され 自然にそぐわないものを増やされた地球の涙

我慢強い地球のお母さんが
長い時間
愛を持ってため込んで
耐え切れなくなって流した
いっぱいの涙だ

泣いていいよお母さん
汚してごめん
止めないで来てごめん

この船はかならずきれいにして返すから
何千年
何万年かかっても

だから乗らせていてください


この危機は私たち全員参加だ
この船に乗っていない人は一人もいない


あなたも
あなたの家族も
あなたの家族の家族も

みんなひとつだ


泣いていいよお母さん
私も泣かせてお母さん

泣きやんだらいっぱい笑えるね
泣きやんだらいっぱい笑うからね


水をありがとう
空気をありがとう
風をありがとう
土をありがとう
緑をありがとう
火をありがとう
花をありがとう
実をありがとう

魚をありがとう
虫をありがとう
鳥をありがとう

人をありがとう