下りの電車待ち

ホームに立つ私の目前に
上り電車が滑ってくる

乗り込む人々を避けて
陽のあたるベンチに腰掛ける

私は今何を成すべきか
子育てか
仕事か
家庭を守る事か

今まで
あなたにも
あなたにも
あなたにも
誰にもいつでも
甘えて来たのが良く分かる

どれめ私しか 出来ないこと

どれか一つに集中しなきゃ
成せないような重たいこと

どれか一つになんて
絞れないほど大事なこと


器用に器用に綱渡りしながら
バランス取らなきゃ今を超えられない


子育ても
勉強も
仕事も
家庭も

子供達も
喜び合える仲間も
この先出会うお友達も
オットも
母も
父も
義母も
義父も
義妹も


みんなみんな手放せない
私の大事な人たち
だから守りたい
歩みを止められない
しっかり歩かなきゃ



上りの電車が動き出す
ふと車窓を見る

中に乗り込む人々は逆光でかすんで
強く照らされた私の顔だけが
くっきりと浮かんで見えた


…私の母と同じ顔だ


強くて厳しい私の母
弱くてもろい私の母


こんな母親には死んでもなるものかと
固く誓っていた思春期の私が
毎日見ていた母の顔


そうか私は
あの頃の母の年になったのだ


姑と舅と姑の母の
三人の看護と介護をしたあなた

その間仕事を続けながら
ずっと頑張っていたあなた

父とはうまく行ってなかったし
私の子育てが成功だったとも思えないけど



今になったらわかる
あなたが背中で見せてくれた
苦難の乗り越え方が
きっとこれから役に立つ


強くて弱い私のお母さん

あなたのように私はなりたい


だから頑張れます
ありがとうお母さん